活動紹介
囲む会
09.12.22 HIP囲む会「芸術士のいる保育園」発表会
● 会概要
2009年11月2日、香川県高松市の公立及び私立の保育園を舞台に、
「芸術士のいる保育園プロジェクト」が始まりました。
このプロジェクトは、イタリアの事例なども参考にしながら、
子どもたち一人ひとりが固有の魅力をいきいきと発揮し、
仲間と共同することの力を実感出来る環境づくりを念頭に、
子どもたちの生活や健康面を見守る通常の保育士に加え、
子どもたちが持って生まれた無限の可能性、感性と創造性の芽を育んでいくため、
その成長を見守る大人「芸術士」を配属するものです。
現在、「芸術士」には、活動実績の豊富な地元高松のアーティストや創作家を中心に、
一般公募・審査された8名の有志が、国が進める雇用機会創出事業を活用しながら従事しています。
今回、始まって1ヶ月あまりが経過したプロジェクトの現状もご説明しながら、
その状況と課題、今後の希望と可能性について、日頃から子どもたちについて
関心をお持ちの皆様と意見交換できる時間を持つことにしました。
この発表会には、このプロジェクトの舞台であり、
2010年の瀬戸内国際芸術祭の舞台ともなる高松市の副市長・岡内須美子さん、
保育と幼児教育の専門家でいらっしゃる東洋英和幼稚園の園長・森眞理さん、
プロジェクトの発起人で地元のNPO法人アーキペラゴの理事である石倉英武さんを御招きし、
プロジェクトの実態に即した現実的かつ専門性も伴ったお話を頂ける時間になる予定です。
● 当日の様子
参加者は約50名。
AXISをはじめとするデザイン系・教育系メディア各社、渋谷区の議員でグリーンバード代表のハセベケンさんや、
東京や大阪で幼児教育プロジェクトを模索している人たち、
アートを通じた子供とのコミュニケーション活動をしている人たち、
そして私たちHIPなど、多様な顔ぶれの中、会は開かれました。
スピーカーは、岡内須美子高松副市長、東洋英和幼稚園園長の森眞理先生、
芸術士派遣を地元で運営しているNPOアーキペラゴの石倉さん。
それぞれ自己紹介し、このプロジェクトへの思いを語った後、
森先生からレッジョの事例紹介(街を共同体として捉える視点から)、
岡内副市長から高松市のビジョン(行政が保育に関与する意味について)、
石倉さんから現状報告と今後の展望を説明頂きました。
参加者それぞれ、普段から関心のある領域、
あるいは実際に携わっている領域ということもあり、
発表会の後の交流会では、考え方や具体的な方法論まで、
細やかな意見交換がされていました。
渋谷区も関心があり高松市の動きに注目していること、
コクヨが中心となって進めている新宿区のプロジェクトからの相談等、
すでに地域を越えた波及が生まれ始めています。
そうは言っても、高松の試みはまだ始まったばかり。
たくさんの課題を乗り越えながら、長い目で成果を見張り、
継続して行きたいという岡内さんの言葉が印象的でした。
● スピーカープロフィール
■岡内須美子氏
高松市副市長。1975年に高松市職員となり、教育部次長、市民部次長などを経て2003年に初の女性部長として健康福祉部長に抜擢。
2007年に中核市レベルでは横須賀市に次いで全国2人目の女性副市長となる。
■森眞理氏
東洋英和幼稚園長、東洋英和女学院大学院非常勤講師。米国コロンビア大学教育大学院カリキュラム&ティーチング科博士課程修了。教育学博士。日本と米国での幼稚園教諭経験。保育者養成と現職者研修に従事し、2009年4月より現職。 『子どもたちの100の言葉 ―レッジョ・エミリアの幼児教育―』(共訳)他多数の著書がある。
■NPO法人アーキペラゴ
香川県高松市に本拠を置く非営利活動法人。アーキペラゴとは、多島海を意味する。瀬戸内国際芸術祭の応援活動、島のビーチコーミング活動、島々へのツーリスムの企画運営などを通じて、多様な人々・文化の交流や、地域の課題解決と未来展望の機会創出を続けている。